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Story
それは、むかしむかし、遠い未来のこと。 甘ったるくてあぶらっこい銀河の片隅で——
銀河を支配する超巨大製菓企業『バタークリーム・コーポレーション』のご息女たるバターフライは、銀河の果てのお嬢様学校の生徒会長に選ばれる。
専用の居室兼・執務室を与えられたバターフライは、新たな住まいを眺めながら、己の使命に思いをはせる。
偉大な支配者として銀河を統治するお父様より、「お前はやがて世界を手にするのだ」と言われて育ったバターフライは、支配者活動の手始めに学園を自分の手でよりよく導くことができないかと考えていたのだ。
地球よりサルベージされた通信機械に宿った幽霊すあまや、学園のロボット先生らの手を借り生徒会長としての職務を全うする中で、自分なりの「支配者らしさ」を見つけようと奮闘するが、いつも微妙にずれているのだった。
——かつて、長い出張に旅立つ前、お父様は言った。
「むだなものこそ愛すべきものだ。我々が作っている宇宙甘味は、その模造品にすぎない」と。
バターフライは思う。
むだなものでも愛すべき。それなら、それはもう、だだの「愛すべきもの」ではないのかしら。
本当の「むだなもの」はどこにあるのか。本当に愛するべきものはどこにあるっていうんだろう?
バターフライは令嬢用キャリコット・ユニットのたゆたう液体の中で、ずっと考えていた。
宇宙と学園、そして自身に秘められた秘密に迫る中で、未来の支配者はその答えに思いがけず接近することになる。
これは、やがて銀河を救うことになる高貴なる少女の、永い少女時代とその終わりについての物語。
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